夏になると毎年虫のクレームが来ます。これはマダラメイガという虫で無害です。防虫剤をつかったり、燻蒸処理をしたりしないお米だったら、保管温度が15℃をこえれば必ずでます。
 これを防ぐ方法は3つ有ります。 一つは温度を15℃以下に保つこと。もう一つは虫が呼吸できないよう無酸素状態におくこと、そしてもっとも一般的なのが薬剤を使って虫(虫の卵を含めて)を殺すことです。

 保冷倉庫を持たない流通業者や小売業者は週2回から3回の防虫燻蒸をおこなうのが普通です。他でお求めになったお米が相当期間虫などの発生がないのは、この燻蒸処理のおかげといっていいでしょう。虫はかびとは違い、生存に適した健康な状況があることで孵化し発生するのであって、むしろ、虫もわかないお米の方が恐ろしいと思います。

 古代米浦部農園では保冷倉庫をそなえており、年間通して15℃での低温で保管しています。低温で保管することにより虫の発生を抑えるとともにお米の劣化を防ぎ品質を維持します。しかしお客様のお手元に届けるためには室温で流通させなければなりません。特に6月下旬から8月中旬まではマダラメイガの孵化時期ですので、保冷庫から出せば3日から1週間くらいの間に孵化は始まります。
これを防ぐために当農園では簡易真空状態で発送をしていますが、真空状態が解除されればすぐにでも虫が発生する条件は整います。特に玄米は白米に比べぬか層の栄養分を虫が好んで食べますので虫の発生が多いのです。

 有機栽培(無農薬無化学肥料)でJASの認証を取得するためには農法以外にも厳しい規制があります。その一つは保管中も一切の農薬等の使用が認められないことです。あたりまえのことのようにおもわれますが、低温倉庫を持たない業者は燻蒸以外に防虫の手段がありません。そのためJAS認証法本格実施後、有機米を取り扱う業者は激減しています。

 もう一つはお米を入れるパッケージの品質成分まで厳しく制限されることです。真空にするためににはガスシールドの袋を使用しなければなりません。当農園では、安全性が認められているもので、かつ商品のイメージを損なわない品質のものをえらび、ガラス質を利用したものを使っていますが、この袋は残念ながら折れや突きにたいへん弱いのです。そのため袋同士の角がぶつかり合うだけで微細な傷から空気が入ってしまいます。玄米は本来生きて呼吸していますから真空パックは虫にダメージを与えると同時にお米にも負担をかけてしまいます。そのためガスシールドは長期保存のためではなく、お客様の手元にお届けするまでとかんがえていますので、堅牢度は劣りますがこれで十分であると考えています。

 商品発送の段階では真空状態であること、虫の発生がないことを確認した上で発送をしています。流通の過程で真空状態が解除されることもありますが、口を開ければ同じことです。商品お受け取り後の品質管理は、冷蔵庫に入れるなど、お客様の責任でおねがいいたします。
 また商品受け取りの時点で虫の発生が有りましたらすみやかにご連絡ください。商品受け取り後時間が経過した場合は、保管状況に責任が持てません。農園側に問題があった場合はもちろんですが、たとえお客様側の保管に問題があったとしてもお取り替えいたしますので直接でも結構ですので早めにお申し出ください。

 有機栽培のものは栽培の全期間および保管の全工程を通して一切の農薬化学物質にさらされることはありません。化学物質に頼った品質管理はできないのです。安全安心に作られたものを安全安心なまま消費するためには、品質管理は生産者だけではなく消費者もともにこころがけていただきたいとおもいます。
 天日に干せば虫は暗がりに逃げ込みます。これがホントの虫干し。
 湿気の少ない天気のいい日に室外で、広げた紙の上で2〜3時間ほど干して下さい。干し終えたら瓶などに入れ冷蔵庫へ。いったん冷蔵庫に入れたものは室温に出すと結露します。結露はカビの原因になりますのでいったん冷蔵庫にいれたら使い切るまで冷蔵庫で保管してください。

 虫がわいたものは気持ちが悪くて・・というときは、フライパンでから煎りします。十分さめたら缶に入れて保存し、お茶を入れるときに一緒に使います。どうしても口にするのがいやだったら植木の根本に肥料として与えてください。

 有機栽培は大変な手間暇がかかっています。カビと違って虫は無害です。虫を出さないにこしたことはありませんが、無駄にしないようお使いいただきたいと思います。
 ニンニク、唐辛子などをお米の上に置く、炭を入れておく、などいろんな方法がありますがどれも効果はイマイチです。夏場は早めに使い切ること。使いかけたお米の口はその都度しっかり閉じること、米櫃が空になったら水洗いし、よく乾かしてから次のお米を入れること、袋の使い回しをしないこと。それでも虫がでるのを完全に防ぐことはできません。
 
 昔からお米の保管は、精米した場合には、冬の室温で1ヶ月、春は3週間、気温が30度を超える夏は2週間といわれていました。玄米の場合は15度以下の保管をすればお米はほとんど劣化しません。室温での保管の場合、お米の表面が白く粉を吹いたようになるのは酸化が原因。特に古代米は色が濃いだけに白っぽくなると気になります。食べられますが品質は低下しています。

 買ったときの袋に入れっぱなしにしたり、空気にさらしていれば早く劣化します。保管はタッパーウエアなどの密閉容器がおすすめです。

 口の細い瓶に入れておけば酸欠状態を作り出せますので比較的虫がでないようです。昔から小豆など虫の付きやすいものは一升瓶で保管する知恵がありました。今の時代ならペットボトルに入れて冷蔵庫保管が一番いいと思います。古代米は玄米ですし、量が少ないですから、こうして冷蔵庫で保管すれば1年間おいしく召し上がれます。
 
 お米は1年に1度しかとれません。1年間品質を保つよう保管するのが誰であったにしても、新米が穫れるまでは誰でも前の秋のお米を食べねばならないのです。人任せの保管では危険な化学物質が使われていても気がつかないことになります。安全安心のお米を選ぶように、安全安心の保管を心がけましょう。
 
生産は生産者が責任を持ちますがいったん生産者の手を放れたらあとはそのお米を手にした人の責任です。ご自分の手元にあるお米の品質維持を業者任せにするから知らずに燻蒸されたお米を食べることになるのです。小麦も豆もジャガイモも、果物も、どうして腐らないのか、虫がでないのか、本気で調べたら恐ろしくなることばかりです。虫のでる米は不良品ではありません。それだけはわかっていただきたいと思います。