「民間療法の中には捨ててしまうには惜しいものがたくさんあります。身近に手に入り、費用もかからず、長くその効能が伝えられてきた手当法などをすこしづつご紹介していこうと思います。」

☆☆ はとむぎ(ヨクイニン) ☆☆ 

毎日ハトムギ粥を食せば 風湿痺(リュウマチ)が治る  中国の古典「食医心鏡」の記載

イネ科の1年草で、高さ約1.5m、数珠玉に似ていますが種類は違います。細長い葉が互生し、夏から秋にかけて雄花と雌花とに穂がつきます。実は暗褐色で固い莢を持ちます。種子は漢方でヨクイニンといい、2000年前の中国最古の医薬書「神農本草経」にも記載がある伝統的な生薬です。 
別名美容の小麦ともいわれ、イボ取りなどで有名ですが、その他にも、消炎・利尿・鎮痛・排膿作用があることから、神経痛、関節痛、リウマチなどにも使われるそうです。
ハトムギは代謝を促して美しい肌を作るとともに、皮膚の老廃物や正常でない細胞を排除する働きがありますので、ハトムギを煎じてお茶にしたり、その汁を患部に直接つけたりします。

食品として使う

毎日のご飯にまぜて、いつも通りに炊いて食します。丸粒では口当たりが悪いと思う方は、細かく砕いたものもあります。
ハトムギをから煎りして、お茶として飲むのもいいでしょう。
ハトムギを粉にしたものは、飲みものに入れたり、小麦粉と混ぜて調理に使ったり出来ます。
代謝をよくし、拝読を促すので、体の内側をきれいにします。

手当に使う
 ハトムギを煎じた汁を手当の必要な部分に塗布します。イボや吹き出物、シミ、そばかすなどに使います。
 ハトムギの粉を水で練って、患部に湿布する方法もあります。耳たぶくらいに練り、厚めに塗ります。

美容のためにつかう
 ふだんの手入れとしては、ヘーラールーノでぬらした手に少量のハトムギ粉をつけて顔や手をマッサージします。おだやかなピーリング効果があり、適当な油分を肌に残しますので肌が白く美しくなります。お気に入りの化粧水で手入れなさったらいかがでしょうか?ただ、化学物質は本質的には肌だけでなく体に内部にも悪い影響がありますから、化学的にに合成された化粧水を使うくらいなら、ミネラル水などを使った方がいいと思います。


☆☆ 皀莢 サイカチ ☆☆

 昔から石けん代わりに用いられてきたといい、かつてはどこにでもあった樹木ですが、近年急速にその数をへらしつあります。古い屋敷では今でも井戸端に植えられたりしているかもしれません。トゲがあるので嫌われますが、もみかけられましたら保護をお願いします。子々孫々に継承したい薬木です。
 皀莢(サイカチ)とも、河原藤ともいわれ、大木になり、莢は植物中最大とも言われます。樹齢100年くらいまは幹のいたる所に10pくらいの鋭いトゲをつけていますが、樹齢300年くらいになるとトゲは幹の上部だけになます。秋には大きな実をつけ、莢にも幹にも有用な成分が含まれることから、昔の人は熱冷ましや皮膚病に用いたり、大な馬を洗うのに用いたり、石けんとして使ったと言うことです。
 地域によっては保存活動が行われており、サイカチマップを作っているところもあるようです。インターネットで掲載されている場所もありますので、お近くをお探しになってみて下さい。
 見つかりましたらその莢を拾って乾燥させ、大切に1年間お使いになることをおすすめします。

使い方
サイカチの莢3〜5本の汚れを取り、はさみで適当な大きさに切る。(細かい方がよく煮出せます。)大きな鍋を用意したっぷりの水で20分くらいかけて煮出します。色の出るうちは繰り返しに出します。最初に煮出したものの一部はローション用に取り分けておきます。
1回の入浴に煮出した液を全部入れ、3回くらいまでは風呂の湯はたてかえして使います。最初に取り分けておいた液は、スプレーボトルなどに入れ、肌に直接吹きかけてなじませます。
煮出した液はナマモノですから使い切らないときは冷蔵庫で保存しなるべく早く使い切ります。アルコールで抽出したものはアトピーの子には強いと思います。面倒でも使う都度煮出しましょう。

こんな時に !!
 アトピーでステロイドを処方されることがありますが、対症療法にすぎずかえって悪化させることになりますが、いったんつかってしまうとやめるのにたいへん苦労します。リバウンドでひどい症状が出たときにサイカチのお風呂に入れてあげて下さい。赤みがひいてかゆみが収まります。ふだんの手当にもおつかいください。

使うときは自己責任で!!
 民間療法で継承されてきた薬草や薬木は、長い歴史の中で人々に用いられ、その効果が検証されてきたものですから、比較的穏やかでふくさようもないことがおおく、重宝します。しかし効果が望めないこともありますし、効果が現れる場合も個人差があります。症状によっては使わない方がいいこともありますので、使うときは自己責任で。人頼みではなくみずから知識をもとめ、使う人との相性を確かめながら慎重にお願いします。

農園ではアトピーやアレルギーのかたにサイカチをご紹介してきていますが、サイカチを使うことでステロイドから離脱できて、きれいな肌を取り戻した方が大勢いらっしゃいます。ただ、アトピーの手当で大切なことは、症状を押さえ込んでも解決しないと言うことです。体の中から排毒をうながし、生活のリズムや食事の工夫をすることは不可欠です。そうした努力をしていく過程でさけられない辛い症状を緩和してくれるのに役立つのがサイカチです。
過去には農園で採取したものをお客様にお譲りしていたこともありましたが、今では入手が困難なものとなってしまいました。こんな手当法もあるのだということを知っていただきたくて、HPではご紹介させていただいておりますが、現在はお譲りはしておりません。ご了承ください。


☆☆ 大麦 ☆☆    彩穀にはいっています!

大麦は穀物繊維が豊富に含まれ、便秘に効果があることや、豊富なビタミンで脚気を予防するなど、日本では健康食品として日常的に食べられてきた穀物です。
 食物繊維のみならず、カルシウム、ポリフェノールなど、現代人に不足しがちな成分がたくさん含まれ、ストレスを軽減するマグネシウムも含まれています。また胚芽に多く含まれる亜鉛はタンパク質の合成に作用し、細胞の新生を促進します。亜鉛が不足すれば味覚障害や、子どもの発育障害を引きおこします。

血糖値、血中コレステロール値を抑制し、冠状心疾患を予防する

 昨年12月23日、米国食品医薬局は、大麦が冠状心疾患の危険を減らすという表示を認めました。心臓に血液を送る動脈(冠動脈)が狭くなったり、ふさがったりして生じる心臓疾患に対して効果があることが立証されたわけです。また、血糖値を下げる効果も報告されています。  日本でも冠状心疾患は死亡原因2位となっていますが、毎日の食事に大麦を加えれば、心疾患のみならず糖尿病や高血圧などさまざまな生活習慣病に予防効果があるのですから、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

大麦はどんな穀物?
 大麦は小麦とともに世界最古の作物で、世界で一番多く栽培されています。日本でも3世紀頃には広く栽培されていたようで、白米食が普及してきた明治時代には米と一緒に炊き込み、脚気の予防に奨励されました。
 小麦も大麦も日本では「麦」と総称するので同じように思われがちですが、植物分類上は全く別の植物です。小麦のタンパク質はグルテンで粘りがあるのに対し、大麦のタンパク質はホルデインといい、粘りが少ないのが特徴です。

大麦は何に使われてるの?
 大麦といえばすぐ思い浮かぶのは、とろろに麦飯でおなじみの押し麦。浦部農園の彩穀にも有機栽培の押し麦をブレンドしています。そのほかにも味噌づくりにも使われてきましたし、麦茶、ビールや麦焼酎として愛飲されてきました。麦を煎って焦がし、粉にしたものは「はったい粉」といって、お菓子の素材として使われています。近年では大麦の若葉(青汁)がブームを巻き起こしていますが、SODをはじめとした何千種類もの成分や、グルコシルイソビテキシンというビタミンCやEよりはるかに高い抗酸化力をもつ成分などが活性のまま含まれているといいます。

毎日の食事に大麦を
 子どもの成長に欠かせない亜鉛は、麦茶でとれば簡単です。ソフトドリンクはやめて麦茶をどうぞ。ビールが習慣(笑)というオトナの方、アルコールは弊害も多いのでビールで大麦の補給という考えはやめましょう。
 毎日のご飯に少量押し麦を混ぜることをまず習慣にしましょう。さらにおかずづくりにもご利用下さい。大麦はさらりとして粘りがないので、スープの具にしたり、リゾットにしたりするのもおいしいです。とりわけ丸麦はつるりとした舌触りですから、ゆでてから水で冷やし、デザートとして白玉のような食感を楽しんでもいいでしょう。

お肉料理にボイルドバーレ
ハンバーグなど挽肉料理の際、挽肉を半分に減らしてボイルドバーレとタマネギをたっぷり使い、ヘルシーな一品を工夫しましょう。
ボイルドバーレ:丸麦を洗わずに鍋に入れ、2倍の水を加えます。中火にかけ、煮立ったら一混ぜして火を弱め、ふたをして15分煮ます。火を止め、10分間蒸らせばできあがり。3倍量になりますので多めにつくって冷凍しておくと便利です。押し麦でもできます。


☆☆ スギナ ☆☆

5月、ツクシが終わり、スギナが青々としてきています。農薬や化学肥料の心配のないところでスギナを見つけたら、つみとってほしておきましょう。
ヨーロッパ生まれの薬草で、ガン、糖尿病、胆石、関節痛、皮膚炎ほかすべてにいい万能薬です。とりわけ内臓の様々な痛みを取るのに、また冷房病にも効果的。すぐれたかゆみ止めと消炎効果があるのでアトピー性皮膚炎にもおためいただいいたらいかがでしょうか。

手当法

生の葉を使う
スギナの生葉を枕にして寝る。乾燥スギナでもよい。神経衰弱・不眠

生のスギナを蒸してさらしに包み患部にあてる。腰痛・子宮筋腫・生理不順等

煎じてお茶にする。
半日陰で干し、乾燥させる。
2リットルのやかんにひとつかみの乾燥スギナを入れて沸騰後弱火にし、20分ほど煎じる。
体内のできもの等を溶かして出す力がある。ガン・胆石、子宮筋腫等。

入浴剤にする
ひとつかみのスギナ茶をさらし袋にいれて風呂に入れる。皮膚病全般。アトピー性皮膚炎にも。

焼酎に漬ける
スギナを3日ほど干して白くなったら35度の焼酎に漬ける。
焼酎とスギナの割合は適当でいいがスギナが泳ぐほどでは量が足りない。  
杯1杯を飲む。アレルギー性鼻炎、便秘に。
スギナ酒で口をすすぐ。歯痛、歯槽膿漏に。
杯1杯を水で割って飲む。内臓の痛みを取る。飲めないときは痛む患部の上から塗布する。

ワンポイント・アドバイス

薬草を干すとき、日なたの植物は日陰干し、日陰の植物は日向干しですが、わからないときは半日陰で陰干しをしましょう。
干し葉も焼酎漬けも古ければ古いほど効果がありますから古いものから使います。

薬として使うときは最初の水が半分になるまでに出します。ただし、 濃いスギナ茶は胃を荒らすことがありますので症状がきえたらさらっと煮出したお茶にすること。

胆石を溶かすのが目的なら、スギナの量を増やして煮出し時間を短くします。熱でケイ酸の効果が減少するのを防ぐためです。症状が消えたらスギナの量を減らしますが荷出し時間は短いままで。