間の苗も順調に生育して田植えの開始である。
苗間の苗をトラックに積み込んで圃場に運ぶ。
ット式田植機は苗を全面につみ後ろに米糠ペレットをつむ。前後に注意を払いながら直進するのは熟練を要する。マット式田植機と異なり、確実に植えてはいくが、ポットに種籾が落ちていなければ確実に欠株になる。ひと株2本植え、条間を大きくとってしっかりした稲を育てる。
ット式田植機で田植えをする。うしろにはカントリーエレベーターが見える。
せっかくの設備も有機農業者には開放されない。
械が植えたあとを補植していく。最大2粒しか落とさないため、欠株が目立つ。機械が植える6条を一人が担当し、2条をはさんで左右2条の計6条を丁寧にみながら植えていく。なかなか良いストレッチになる。朝7時から夕方7時頃まで黙々と田にかがみ込む仕事である。
植え後3日ほどで苗が活着してくる。代掻きの精度、苗の出来、水管理、タイミングなどがぴたりと合えば草はでないが、なかなかそううまくはいかない。代掻き後予定より1日遅れて田植えとなったこの田んぼではすでにコナギがうっすらと糸のように顔を出していた。こうなると一刻も早く除草にはいるしかない。
タテの列は動力の除草機で、横の列は手押しの除草機をおしていく。取り残す株間の草は四つんばいになって人の手で取っていく。
年から研修に入った青年が除草機を押す。田植機の操作が除草作業に影響する。列が曲がったり、条間が狭くなったりしていると除草作業が難しくなる。来年、田植機操作を研修するための予習といったところか。
年目の研修生は難度の高い3連の除草機を押す。苗を踏みつぶさないよう細心の注意を払って条間に入っていく。
植えが進むうちに大麦が熟す。今年は暑いのだろうか、例年よりできるのが早くて気が気ではない。田植えも時期を逸するわけにはいかないが大麦の収穫も適期を逃せば品質が下がる。気がせくことの多い時期である。
植えの間に麦刈りがある。
浦部農園では大麦を栽培し、静岡の永倉精麦で押し麦に加工する。
小麦より収穫が若干早いので、2毛作には適した作物だ。
収穫後海鳥の糞などの有機資材を施肥し、耕起・代掻きを経て田植えとなる。
麦の収穫が終わり穀物検査を受けて出荷です。
農園の大麦は品種名シュンライ、有機では珍しく{?!}1等に格付けされました。
し麦の検査は25kgに袋詰めした大麦すべての袋からサンプルを抜き取って検査します。
検査は中間法人民間稲作研究所に依頼、群馬農政事務所の職員の立ち会いで実施しました。
穀物検査では粒の大小、色、異種穀粒、水分などをみます。
有機であれば異種穀粒もふえるし、粒も揃わないのは当然で、農薬を使った穀物と同じ土俵で評価することに無理があります。そのため、有機栽培で1等に格付けされるのは大変難しいと言われます。
しかし有機の国内産大麦は生産者がきわめて少なく、実需者は、たとえ品質に難があっても有機のものならなんとしても欲しい、というわけで買い入れにあたってもJASの認証を取得しているかどうかで価格が決まり、穀物検査の結果は価格に反映しません。
農園でも取引先に、JAS認証さえ取得できていれば穀物検査は必要ないといわれていますが、有機栽培でもしっかり手をかけてそだてれば慣行栽培(農薬や化学肥料を多用する従来からの栽培方法)に一歩もひけをとらないことを証明したいと思い、穀物検査をうけています。
物検査が終わるといよいよ出荷です。
出荷先は静岡の永倉精麦。有機の加工ラインを持つ工場です。
ここで押し麦に加工されます。
国内産有機押し麦のシェアの半分以上を当農園の生産が支えています。