No.5

フィールド報告

4月後半から播種、苗間管理、畦畔草刈、5月後半6月いっぱいは田植え、7月からは田の草取りにおわれて1日の休みもないまま8月にはいってしまいました。この間、定点観測はどうした、とか、稲の写真が見たい、とかご意見もいただいておりますが、それどころじゃなかった、というのが実感です。農園始まって以来の最大面積、7,6ヘクタールに挑戦した今年は、ポット式田植え機も導入し、万全の体制で臨んだのですが、今年も草との壮絶な戦いになってしまいました。

最大の原因は水不足。田植え直後から深水管理を徹底、米ぬかペレット、ダイズカスの散布、大量に発生した藻や水草で抑草に成功したかに見えたのですが、今年の異常高温と水不足のため、7月中旬から一部の水系取水制限が始まり、7月後半には完全に水が止まってしまいました。そのため圃場の水が干上がり、深水管理が破綻、それまで押さえ込んでいたコナギやオモダカ、カヤツリ、タネム、クロクワイなどがいっせいに勢いを増し、びっしりとはびこってしまいました。夜明けから日没まで、連日炎天下で草取りに入りましたが、昨日(8月2日)例年より1週間早くサワピカリの最初の1穂が出穂したのを確認し、草取りをあきらめました。

取水制限のなかった水系の圃場はほぼ全面的に抑草に成功しており、技術的な方法論としては農園の抑草技術は正しかったことは立証できたのですが、水管理がネックでした。残念ながら水利慣行は除草剤を使う農法を基準に行われていますので、例年よりはやめの取水制限に困惑したのはわれわれ有機栽培のものだけです。慣行農法の圃場は中干、あるいは土用干しといってこの時期水を切り、苗の根張りを確保するのです。抑草対策のため、出穂ぎりぎりまで水が欲しい有機農法への配慮はありません。有機農家の割合が増えない限り水利慣行が変わることはないでしょうから、貯水力の低い水系での抑草はひきつづき課題として残ります。

それでも稲はまだ草に負けていません。収量は落とすでしょうが実りにはこぎつけるでしょう。マット苗だったら壊滅だったと思います。ポット苗のおかげで初期成育の差がものをいったと思います。貯水力の低い水系では再度紙マルチに戻すなど、来年もまた試行錯誤が始まります。

8月2日からは防鳥ネット張りに入ります。穂が出る前に張り切らなければなりませんので再び夜明けから日没までのフィールドワークとなります。8月からは事務をしていたスタッフが退職しましたので人手も足りなくなっています。昨年ほど丁寧に写真を公開していくことはできませんが、せめてフィールド報告だけは発信したいと思っています。そんなわけで日中は全員フィールドに出ています。電話が留守電になりますのでご用件はメールでお願いします。

受難の28番圃場

1月のオリザ便りで、ガラス投げ込み事件の報告をしましたが、同じ圃場でまたタイヤが投げ込まれました。7月21日から22日の総長にかけて、軽自動車用スタッドレスタイヤ4本と、鉄筋がむき出しになったコンクリート片が投げ込まれました。昨年7月の大型タイヤ、正月のガラス、そして今回と3回目になりますので、今回は警察にも被害届けを出しました。被害届けを出したからといって犯人が捕まるというわけではありませんが、それでも警察が現場検証をしている様子をどこからか見ていれば抑止力にはなるかもしれない、と思いまして。やっと草取りの終わったところに稲を押しつぶしてタイヤが転がっているのを見たときは、一瞬言葉が出ませんでした。それでもがんばらなくっちゃ。


重労働を支える食事と運動

この3ヶ月の忙しさはすさまじいものがありますがスタッフ全員疲れてはいますが体調を崩すものはいません。食事と運動のおかげと思います。食事は毎日お昼は彩穀おにぎりとぬかづけです。朝と夜はそれに味噌汁が加わる程度。そのほかは水分補給でスイカかトマト。冷水は飲まずぬるま湯です。おかげで体は切れよく軽々と動きます。たまに差し入れで冷たい飲み物やアイスクリームなどいただくと、口は喜びますが夕方には足にムクミがきます。体温より低い温度の飲み物
は吸収されずに滞留し、ムクミやだるさの基になります。冷房も同じ。夏ばて気味の方は冷房を切り、冷たいものをやめて汗をかきましょう。体調が整います。また、さすがに連日の不自然な姿勢は体を固めてしまいます。そのため休憩時間は各自が思い思いのやり方で体をほぐします。自力整体、操体法、ヨガなど。田んぼの横で並んで寝そべり、腰痛体操をしている様子はかなり異様なものがありますが(笑)、真昼の田んぼはわれわれ以外人の気配もありませんから平気です。とりわけ矢上裕の自力整体http://www.jiriki-yagami.com/は効果絶大です。農園では毎週1回プロのトレーナーを迎えてストレッチを行っていますが主として取り入れているのが自力整体です。体のゆがみやちじみを防ぐとともに、背中やわき、下腹などの余分な肉を落としてくれます。贅肉があるところは故障があります。肩や首の余分な肉がなくなると肩こりが消えてしまいます。また腹筋や背筋をしっかりつけると腰痛は消えてしまいます。余分な肉を落とす最もいい方法は正しい姿勢をキープすること。骨格のゆがみが余分な肉を溜め込むんですね。ダイエットの基本は正しい食事と正しい姿勢。サブリメントや極端な食事療法などの不自然なダイエットは、たとえ体重を落とすことに成功しても美しい体は作りません。美しい体とは健康な体のことですから。おかげさまで農園スタッフは、色こそ若干黒くはなりましたが、ナイスバディで肌はツルピカです。うそだと思ったら会いにきて(笑)

新商品の企画について

今年は昨年に比べ約2ヘクタール面積が増えています。昨年までの圃場すべては栽培歴3年を過ぎていますので転換期間中はありませんが、今年増えた面積分は転換期間中となります。農法はまったく同じですが残留農薬への配慮から転換期間中であることを明示します。農園の場合、耕作放棄地の借受がほとんどですので残留農薬の心配はありませんが、それでも化学物質化敏症の方はご心配だろうと思います。増えた分の作付けはコシヒカリ、低アミロース米など白い系統のお米です。古代米は気難しいお米ですので相当土ができてこないと栽培できません。有機の履歴が浅い圃場は、栽培しやすい品種で始めます。そのため今年は白い系統の転換期間中のお米がふえます。農園では転換期間中のものについては例外的に精米し、精米彩穀として販売を予定しています。ストレートタイプでそのまま使えるように、農園ブレンド米(転換期間中コシヒカリ・サワピカリのブレンド・精米)に1割の彩穀を加え、『精米彩穀』として販売を予定しています。精米彩穀は何年か前まで販売していた人気商品でしたが、毎年需要にこたえきれず品切れが続出する中で、玄米優先ということで廃止した経過があります。当時は約3割の彩穀をブレンドし、ご自宅のお米とあわせてお使いいただくタイプで、価格もそれなりに設定しておりましたが、今回はストレートタイプになりますので価格も低く抑える予定です。使いきり3合タイプの500グラムを考えていますが5kg袋も検討中。彩穀をブレンドするためJAS表示はしませんが、安心してお召し上がりいただけます。お試しください。そのほか、野崎洋光の出しポットを組み合わせた、お得なセットもご用意しています。お米の在庫がないためいずれも新米からのご案内になります。

在庫のお知らせ

現在在庫は、彩穀500グラムが若干(残り1700袋)となっています。8月中には完売の見込みです。必要な方は早めにご注文ください。そのほかのお米は完売となっています。


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