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☆産経新聞群馬版毎週金曜日掲載で『群馬女性5人のリレーエッセー』が2005年1月からスタートしています。
5週に1回づつ寄稿している浦部農園マダム・オリザの文章を産経新聞の承諾を得て転載します。

1 2005.2.4 産経新聞群馬版掲載『群馬女性5人のリレーエッセー』より

☆健康・美容食で注目

 今年は花粉症がすごいことになるらしい。そのうえこれからは二人に一人がガンになる時代だとか、新生児の半分がアトピーだとか、小中学生の3割が生活習慣病だといった数字も出てくるなど深刻な状況もあってか、昨今の健康ブームは過熱気味。おかげでこれまでキワモノ扱いだった古代米や、鳥のエサ扱いだった雑穀などが優れた健康食、美容食としてにわかに脚光をあびはじめた感があります。
 古代米といってもその品種は二百数十種ともいわれ、色や形質、味、香りなど実に個性豊かです。各地で大切に保存されてきた希少な古代米に加えて、農水省がスーパーライス計画で作り出した新形質の有色素米も『古代米』と称して出回るようになるなど、かつては『幻の米』ともいわれた赤米・黒米も入手しやすくなりました。でも、古代米の歴史や特徴、食べ方や効能などはまだまだ知られていないようです。
 古代米浦部農園は当地藤岡市でブーム到来前から古代米専門に生産を続けてきました。その歩みはベーチェット病という難病患者であった私が健康をとりもどす歩みとかさなりますし、手のひら1杯の種籾から始まって、今日約9ヘクタールを有機栽培する規模に至るまでは、全国の消費者に支えられ励まされて、農業の復権を模索する日々でもありました。
 すべての圃場を有機栽培で、そして主食である米にこだわって農業を見つめてきた古代米浦部農園のフィールドから、古代米のはなし、健康のこと美容のこと、食事のあり方やレシピ、環境のことなど、これから回を重ねながら、折々の話題をお伝えしていきたいと思います。

☆☆☆マダムオリザのオーガニックキッチン☆☆☆
古代米基本のご飯(黒米を使って):いつもどおりの手順でお米を砥ぎます。1合あたり小さじ1〜2杯の黒米と、梅干1個を加えて2時間ほどおきます。いつもどおりに炊きます。ごま塩をそえて召し上がれ。

2 2005年3.11 産経新聞掲載 群馬女性5人のリレーエッセーより

☆赤米の生命力再評価
 
 日本に稲作が伝えられたときのお米が赤米であることは今や小学校の授業でも教えられていますが、その赤米がごく最近まで一般に食されてきたものだったということは案外知られていません。赤米は明治中ごろまでは日本で広く栽培されてきたお米でした。むしろ現在当たり前と思われている白いお米こそが、たゆまぬ努力と改良によって作り出されてきた特殊な存在だともいえるのです。江戸時代赤米は『半分食べて3倍働く』米として下級武士の扶持米に支給されたといいます。しかし残念なことに赤米は、明治以降の富国強兵政策のもと根絶させられます。けれど人々は赤米根絶の国策から、さまざまな方法で赤米を守り伝えてきました。多収で生命力の強い種は主として東北で細々と伝えられ、美しい穂を持つ種は神社仏閣の縁起米として守られてきたのです。今でも東北の古い豪農の屋敷が解体されるときなど、天井裏に飢饉の備えの赤米が種籾として保存されているのがみつかりニュースになることがあります。脱粒性が高く実生で発芽する生命力ゆえにその根絶には農民の非常な努力があったといいます。近年その栄養価や薬効が見直され、再び赤米が脚光を浴びると同時に黒米や緑米、香り米など多様なお米が表舞台に再登場を始めました。赤米は体を温め排毒を促しますから、時節柄花粉症の方はお試し下さい。

☆☆☆マダム・オリザのオーガニックキッチン(赤米餃子)☆☆☆
1晩水につけておいた赤米1合(付け水も使います)を炊いておきます。蓮根、椎茸、キャベツ、にんにく、生姜、長ネギなどを各適宜フードプロセッサーなどでみじん切りにします。炊き上がった赤米と混ぜて練りこみ、塩コショウで味を調えます。豚ひき肉も少々なら加えてもいいでしょう。餃子の皮に包みます。焼き餃子、蒸し餃子、水餃子などお好みで調理しましょう。赤米は多めに炊いて冷凍しておくとほかのお料理でもひき肉代わりに使えます。


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