☆産経新聞群馬版毎週金曜日掲載で『群馬女性5人のリレーエッセー』が2005年1月からスタートしています。
5週に1回づつ寄稿している浦部農園マダム・オリザの文章を産経新聞の承諾を得て転載します。
No.24 2007.11.30 産経新聞群馬版掲載『群馬女性5人のリレーエッセー』より
先週は岡山に行ってきました。先が見えない稲作経営の参考にしたいと、奈義町が主催する農村活性化講演会の講師を依頼されたのです。まだ大豆の収穫前、大麦の播種も中途で、殺到しているご注文も処理しきれないままでしたが、美作の温泉泊につられてでかけました。講演では消費者の信頼に応えるのは有機栽培しかないこと、有機栽培には多様な技術があることなど、具体的な抑草技術などもまじえて夫と私二人でそれぞれ話をさせて頂きました。帰ってからは留守中にたまっていた注文の処理や、農作業やら講演やらイベントやらで手がつかなかった年間予約の入力もようやくとりかかり、一段落して愕然!どう計算してもご予約いただいた量が収穫量を超えているのです。それも1品種ならいざ知らず、赤米も、黒米も、ササニシキも、コシヒカリも・・・皆さん、品切れが心配で早々と1年分のご予約をなさったわけですから何とかして応えなければなりません。スタッフ全員で手分けして、お客様にキャンセルのお願いやら変更のお願いやら・・浦部農園はよく売れて良いですねといわれるますが、とんでもない、それはいくらでも仕入れることができる商品の場合ですよね。農園ではその秋収穫したものしか販売できませんから、いくら売れたって売り上げは同じ。それどころか不足の品が有れば電話をし、手紙を書いて頭を下げねばなりません。これまでもたびたび品切れでご迷惑をおかけしていますので作付計画は吟味に吟味を重ね、過不足がないよう工夫しています。その結果何もかもが足りないというのは努力の限界というしかなのです。いっぽう農薬化学肥料に頼る生産農家からは、米価が下がって苦しい、やっていけないという声ばかり。こんなに欲しい人がいるのにどうして有機に取り組まないんだろう。率直な疑問です。それだけではありません。韓国からは農園の視察希望が後を絶たず、最近は韓国のTV局が取材を申し入れてきました。有機で有利販売しているということに着目しているというのです。韓国は国策として有機栽培を推し進めていますし、様々な支援がおこなわれていますから有機に取り組む農民も真剣そのものです。お隣韓国での有機農業の元気さを思うに付け、この国の農のあり方には気持ちがしぼんでしまいそう。買い支えるという意識をもって有機農産物を求める人がこんなにたくさんいるというのに、農家の皆さん、いったいどこをむいて仕事をしているのですかと問いたいこのごろです。
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