No.34



☆産経新聞群馬版毎週金曜日掲載で『群馬女性5人のリレーエッセー』が2005年1月からスタートしています。
5週に1回づつ寄稿している浦部農園マダム・オリザの文章を産経新聞の承諾を得て転載します。

No.29 2008.6.13 産経新聞群馬版掲載『群馬女性5人のリレーエッセー』より
今、農園では3人の研修生を抱えています。3人とも農外からの就農で、その中の一人は来春には独立を予定しています。新規就農者が真っ先に確保しなければならないのは農地と作業所の確保です。これが確保できない限り新規就農は不可能ですから、地縁血縁もない中で必死の土地探しをしてきました。ようやく貸し手が見つかりましたが、農地法の制約のため貸借関係が結べません。こうした中、農業委員会では特例として、県の新規就農者として認定されれば農地の貸借を認めようと条件を緩和してくれたにもかかわらず、県は、農地を確保していないという理由で新規就農計画を受け付けてくれません。耕作放棄割合全国3位という現実にもかかわらず、縦割り行政の狭間で農地の確保に難渋するという、本人の責に帰さない障壁が立ちふさがっています。農外からの新規就農は、ほ場の確保や機械の購入、技術の習得や販路の確保のすべてにわたってゼロからの出発という大変な困難に立ち向かわねばなりませんが、そのすべてにわたって何一つ行政は支援の手をさしのべてはいないのです。こうした困難を見透かすかのように農外からの就農希望者を研修名目で雇用し、低賃金労働者として使い捨てる風潮も有ります。新規就農者への支援をうたった施策も、その指導にあたるとされる職員の姿勢も、現実的な困難を取り除くどころか農地確保という最も基本的な段階で農外からの新規参入を阻んでいます。農外からの就農者を手厚く支援している県もあるのですが、群馬県では無策です。いったいどうしてこんなことになってしまうのか、関係者に猛省を促し、農家の子弟だけではなく、農外からの新規就農者にも広く門戸を開いて就農を支援する実効性ある施策とその運用をのぞみます。

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